2021/04/04 21:44

こんにちは、


私たちは「studio wani」として活動しているので
「これは健一郎さんとミリアムさんのどちらの作品ですか?」とか「絵は健一郎さんとミリアムさんのどちらが描かれているのですか?」とか、仕事の分担についてよく質問をされます。

以前は、「これはstudio waniとしての作品です」と言ったり「基本的は二人で一緒に作っています」などと答えていましたが、あまり納得してもらう事は出来ませんでした。
やっぱり皆さんもう少し詳しく知りたいようですね。

今回のブログはstudio waniでの分業について書きたいと思いましたが、
先に、どうして個人の名前で作品を出さないのかと言う事と、「studio wani」はどういったブランドなのかを少し説明したいと思います。

焼き物の業界はざっくり「窯元」と「個人作家」の2つに分けられると思います。
窯元は従業員が何人から何十人と働いている会社組織で、
作品というよりは製品として、会社のブランドで販売しているようなところです。

個人作家は一人で作っている人もいれば、アシスタントやお弟子さんを抱えているところもあります。
作家の工房で作られたものは陶芸家個人の作品として出されます。

「studio wani」の作品は一つ一つ手作りなので、私たちの事は個人作家だと思われがちなのですが、
分担に関しての考え方は「窯元」に近いかと思います。

独立した時に私と健一郎のそれぞれ自分の作品を作っていくのではなく、一緒にデザインして力を合わせて制作することにしました。
それには大きく二つの理由がありました。

ひとつは、二人で同じ物を作った方が焼き物の仕事と家事が平等にできるという事です。
それぞれ別のものを作っていたらお互いに仕事を手伝えないし、仮に一人だけが売れてしまったら、もう一人は家事ばっかりになってしまって陶芸の仕事から離れていく事になるのは、夫婦として望ましくないと感じました。

もう一つは作家名ではなくブランド名で出した方が、色々なことにチャレンジしやすく、楽しそうだと思いました。
個人作家はどうしても自分のアイデンティティを作品で表す「アーティスト」のような側面があると思うので、
作品が世に知られて行ったら、作風を変えるのはだんだん難しくなると考えました。
「studio wani」にするなら、それぞれ雰囲気が違う色んなシリーズを作っても受け入れられやすいのかなと思いました。

独立する前に「studio」ってのは何屋さんかわからないから変えた方がいいと言われた事があります。
実際に、独立してからはカラオケ屋さんや音楽スタジオと勘違いされたこともあります。

私たちは「studio」という何屋さんかわからないという事が「将来、何か色んなことにできる可能性」のように感じて、とても気に入っています。

最初は全て私たち夫婦だけで作っていましたが、一昨年からは子供用食器の生地を生地屋さんに頼むことにしました。
自分たちの作品づくりを他人に任せても良いのかどうかはかなり悩んで夫婦で話し合いましたが、「studio wani」の作品になる為に全部自分の手で作る必要はないという結論に至りました。
分業制が主流の「波佐見」だから活かせる地の利も大きな要因でした。
「studio wani」でこだわりたいことは「丁寧な手作り」なので、とても上手なろくろ師さんにお願いできるようになったのは願ったり叶ったりでした。

子供用食器の生地を作ってもらっているアトリエビスクの太田さんについては次のブログで紹介したいと思います。

そして去年からはアシスタントが入れることができ、さらにもう一人雇いたい気持ちが強くあります。
4人になったらまた作れることが増えるし新しい風も入るし、さらに楽しくなると思います。

やっぱり話が長くなったのにまだ作業の分担に触れていない (笑)

今までもずっと変わってきたし、また変わるとは思いますが、
今のところは

恐竜シリーズ (ろくろ、絵付け) ミリアム担当
シノギシリーズ (ろくろ、削り) 健一郎担当
釉薬、窯詰 健一郎担当
オンラインショップ (写真、商品管理) ミリアム担当
撮影のための料理、盛り付け  健一郎 担当
経理・事務 健一郎 担当

子供用食器 生地作り 生地屋さんの太田さん担当
子供用食器 和紙染 アシスタントの中窪 担当

という感じです。